【key point】
・山から降りたら、できるだけ早くマダニチェック。
・安易に自分で除去しないこと!
・刺されて2週間程度は体調変化ないか要観察。
【概要】
・春〜夏に多い。
・痛みはない。
・合併症を起こさないことが圧倒的多数。
・まれだが、マダニにより媒介される疾患に注意が必要。
・マダニに噛まれると、除去しない限り数日間付着して吸血する。
・長期間吸血されると、疾患が伝播される可能性が高まる&除去が難しくなるのでできるだけ早く気付けるように対応する。
【マダニに噛まれた場合の対応】
・基本は自分でとらない!皮膚科に行くこと。
・安易に引き抜くと、マダニの口器が皮膚内に残ってしまうので禁。
(ただし、口器が残ったからと言って重大なことにはならない)
・3日以上経過すると皮膚に固く接着してしまい、除去が困難になる。
・除去したマダニを保管しておくと、後日万が一疾患発症した際の重要な資料になる。
(せめて写真は残しておこう)
【マダニにより媒介される病気】
※日本では、野外のダニ類が病原体を持っている確率は極めて低い。
・日本紅斑熱(リケッチア感染症)
西日本に多い。発熱、皮疹。まれに重症化して臓器障害を起こす。
・ライム病(ボレリア感染症)
北海道、本州中部山岳部に多い。刺された場所の皮疹が拡大、関節痛、発熱など。
適切な治療が行われないと臓器障害を起こす。
・重症熱性血小板減少症候群(ウイルス感染症)
西日本に多い。刺されてから6-14日後に発熱、腹痛、下痢、嘔吐、血小板減少など。
有効な治療法はない。場合によっては重症化して脂肪に至るケースもある。
マダニのウイルス保有率は極めて低いため、実際の感染リスクは非常に低い。
・ダニ媒介脳炎(ウイルス感染症)
北海道に多い。
感染しても無症状なのが7-9割。
発熱、関節痛→痙攣、めまいなど。神経の後遺症を残すこともある。
ワクチンあり。
・哺乳類肉アレルギーを発症することがある
マダニの唾液に含まれるα-galという物質に抗体ができると、
哺乳類の肉に対してアレルギー反応を起こすようになる。
マダニに刺される回数が増すごとにアレルギーは増強する。
【マダニに刺されないために】
・薮の多い場所へ入るときは肌を露出しない。長袖長ズボン。
・虫除け使用
・下山したら、できるだけ早く衣類を脱いで、鏡で全身チェック。
【参考文献】
MSDマニュアルプロフェッショナル版 マダニ咬傷(閲覧日2024/06/03)
日本皮膚科学会HP 皮膚科Q&A (閲覧日2024/06/03)
国立感染症研究所HP ダニ媒介性脳炎とは (閲覧日2024/06/03)
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