2024年6月3日月曜日

【山岳医療】マダニ咬傷

 【key point】

・山から降りたら、できるだけ早くマダニチェック。

・安易に自分で除去しないこと!

・刺されて2週間程度は体調変化ないか要観察。


【概要】

・春〜夏に多い。

・痛みはない。

・合併症を起こさないことが圧倒的多数。

・まれだが、マダニにより媒介される疾患に注意が必要。

・マダニに噛まれると、除去しない限り数日間付着して吸血する。

・長期間吸血されると、疾患が伝播される可能性が高まる&除去が難しくなるのでできるだけ早く気付けるように対応する。


【マダニに噛まれた場合の対応】

・基本は自分でとらない!皮膚科に行くこと。

・安易に引き抜くと、マダニの口器が皮膚内に残ってしまうので禁。

 (ただし、口器が残ったからと言って重大なことにはならない)

・3日以上経過すると皮膚に固く接着してしまい、除去が困難になる。

・除去したマダニを保管しておくと、後日万が一疾患発症した際の重要な資料になる。

(せめて写真は残しておこう)


【マダニにより媒介される病気】

※日本では、野外のダニ類が病原体を持っている確率は極めて低い。


・日本紅斑熱(リケッチア感染症)

 西日本に多い。発熱、皮疹。まれに重症化して臓器障害を起こす。


・ライム病(ボレリア感染症)

 北海道、本州中部山岳部に多い。刺された場所の皮疹が拡大、関節痛、発熱など。

 適切な治療が行われないと臓器障害を起こす。


・重症熱性血小板減少症候群(ウイルス感染症)

 西日本に多い。刺されてから6-14日後に発熱、腹痛、下痢、嘔吐、血小板減少など。

 有効な治療法はない。場合によっては重症化して脂肪に至るケースもある。

 マダニのウイルス保有率は極めて低いため、実際の感染リスクは非常に低い。


・ダニ媒介脳炎(ウイルス感染症)

 北海道に多い。

 感染しても無症状なのが7-9割。

 発熱、関節痛→痙攣、めまいなど。神経の後遺症を残すこともある。

 ワクチンあり。


・哺乳類肉アレルギーを発症することがある

マダニの唾液に含まれるα-galという物質に抗体ができると、

哺乳類の肉に対してアレルギー反応を起こすようになる。

マダニに刺される回数が増すごとにアレルギーは増強する。



【マダニに刺されないために】

・薮の多い場所へ入るときは肌を露出しない。長袖長ズボン。

・虫除け使用

・下山したら、できるだけ早く衣類を脱いで、鏡で全身チェック。


【参考文献】

MSDマニュアルプロフェッショナル版 マダニ咬傷(閲覧日2024/06/03)

日本皮膚科学会HP 皮膚科Q&A (閲覧日2024/06/03)

国立感染症研究所HP ダニ媒介性脳炎とは (閲覧日2024/06/03)



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