2019年12月2日月曜日

バックカントリー雪崩入門1.装備と心がけと事故の責任

【バックカントリー雪崩入門1.装備と心がけと事故の責任】




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 今回の「バックカントリー入門1.装備と心がけと事故の責任」ではスキー、スノーボード、スプリットボード、スノーシュー、テレマーク。すべての方に共通する雪山登山での装備と心がけについてお話しします。

 基本的には雪山に入山する場合、どんな山でも雪崩に巻き込まれる可能性があります。
実際にスノーシュー登山で雪崩に巻き込まれて死亡している例もあるので十分注意が必要です。

 そのため、雪山を登る、滑る人全員がしっかりと勉強が必要です。

 この「バックカントリー雪崩入門」ではちょっと厳しいことも言いますが、大事なことなのでしっかりと言わせていただきますことをご了承ください(自分のこと棚にあげています、すみません)


【必須装備について】



 最近はSNSで知り合って一緒に冬山に行くことも多いのですが、あとからビーコン未所持なことや、必須装備ないことが発覚することが多数あります。必須装備がない状態で見知らぬ方と知り合った場合は、真っ先に装備がないことを伝えましょう。わからない場合は自分の装備をすべて伝えて問題ないかどうかを確認してもらいましょう。

1.雪崩トランシーバー(ビーコン)

2019年現在、必要な機能は以下。

・デジタル3本アンテナ
・コードがついていて、胸元から伸ばして捜索できる

このように伸ばして捜索できる


MAMMUT Barryvox」、「PIEPS DSP SPORT」などが該当します。






2.シャベル(スコップ、ショベル)

デブリ(雪崩の跡)は固く締まっているため、スコップとして使うときに足で蹴りこみできる、直角のものを選ばなければなりません。撫で肩のものは蹴りこめないため不可です。

  


3.プローブ(ゾンデ)

北海道は積雪が多いため最低でも3mが必須です。


  


4.スノーソー

弱層テスト(ピットチェック)をするために必須です(滑り系の方はとくに)。
実際は、1パーティーに一つあれば良いのですが、スノーソーを持たないということは、「雪崩について勉強する気がなく、自分で考えない人」と思われても仕方ありません。ここの詳細は次の心がけについてをご覧ください。

    



【心がけについて】



 みんな最初は初心者です。
 だから最初経験者に連れて行ってくださいとお願いして同行させてもらうことがほとんどでしょう。それでいいのです。
 しかし、気を付けていただきたいのは「ただ連れて行ってもらう」精神ではダメだということ。

 夏山と比べると、バックカントリーの危険度は桁違いです。そんな危険なところに連れて行く方はものすごく神経を使います。
 初心者でも行ける山を考え、事故のないように計画の段階からすごく考えます。バックカントリーで初心者を連れて行くことはハイリスクで、本当に大変なことなのです。そのため、面倒な人はそもそも初心者を連れて行きません。
 
 こんな大変な思いをしてもベテランが連れていきたいと思う人は、「普段からよく知っている人」、「お世話になっている人」や「教えたい、一緒の行きたいと思える人」です。(もちろん単に世話好きな方もいるので一概には言えませんが。。。)
 
 ここで言いたいのは、初心者でわからなくても「勉強をしっかりとする」精神でいることが大切だということです。
 今まで勉強したことないバックカントリーをされる方は最低でも「雪崩教本」を熟読するように心がけていただきたいと思います。もしくは山岳会に入って勉強すると良いでしょう。




 なお、お金をかけてガイドツアーに参加する場合、ガイドに頼っていると、ガイドさんがすべてやってくれるので、自分で考えなくなります。。仲間同士でいくのと、ガイドさんについていくのでは雲泥の差があることを理解しておきましょう。

※ガイドツアーを否定するものではありません。より安全に行きたい方はガイドツアーに参加するべきです。

 

【事故の責任について】



今まで厳しいことを書いていたのはすべてここにつながります。

山で万が一事故が起こった場合、責任問題が生じます。

もちろん、有料のガイドツアーはガイドにすべて責任があります。

問題なのは知人同士で登った場合です。
知人同士で登った場合は、基本的に責任が生じることはありませんが、損害賠償責任が発生する場合もあります。

それは、「スキル差があった場合」です。

・例
山スキー歴5年目のベテランAさんと、始めたばかりの1年目のBさんが山に行ったとします。そこで雪崩事故が発生し、Bさんが死亡した場合。
 ベテランで経験もあるAさんは、事故を予見できたのにそれを怠ったとして安全確保義務違反として損害賠償責任が発生する可能性が高くなります。
 さらに、必要な装備がないことを知りながら連れて行ったとなると損害賠償責任が発生する可能性がさらに高くなります。
 
 これは、山岳会でも同じです。山岳会も知人同士の集まりとなりますが、事故があった場合、スキル差があると同じように責任が生じる可能性が高くなります。

 とくに注意が必要なのは、初心者が不安がっているのに、ベテランが「自分がついていれば大丈夫だから」と積極的に誘って事故が起きた場合です。この場合は損害賠償責任が生じた実例があります。

このように、初心者を連れていくことがいかにハイリスクであるか、ということをベテランも初心者も認識しておくことが必要です。


 だからこそ、初心者の方は自分からしっかり勉強する姿勢と努力が必要になります。
ベテランに安易に連れて行ってくださいとお願いするのは、これだけのリスクを背負わせることになることを肝に銘じましょう。


動画でも説明しています。



次は【バックカントリー雪崩入門2.バックカントリーの礼儀とマナー】についてお話しします。




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参考資料

登山者ための法律入門



 


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