2023年12月26日火曜日

【山岳医療】低体温症①概要

 【なりやすい3大要因】

①低温:気温10℃以下

② 濡れ:雨、雪、沢

③風:風速10m/s以上


 【肉体的な要因】

・体力がない

・疲労

・高齢者、小児

・脱水

・酒、タバコ

・持病(甲状腺機能障害、血管炎など)


【低体温症の初期症状】

・強い疲労感

・注意力散漫

・ふらつき、歩行困難

単なる疲労と思い込みやすい。

低温、濡れ、風などの要因のある環境では低体温症も疑おう。


【進行した時の症状】

・体温31-33度:意識朦朧

・体温28-30度:意識がなくなる、呼吸・脈が弱くなる、心室細動(致死的な不整脈)が起こりやすくなる

・体温27度未満:まるで死亡しているように見える


【対応4原則】

①食べる:熱産生するために糖質を摂取する
②隔離:寒さ、雨、風を防ぐ環境作り
③保温:これ以上体温が逃げないように衣類を着込む
④加温:プラティパス湯たんぽなど

【予防が大事】

・濡れないこと

衣類にこだわる、濡れたら着替え。

汗をかく前に衣類調節。

・風に当たらないこと

ウィンドブレーカーを着る。

休憩は風の当たらない場所で。


【低体温の心肺停止】

・一見死亡しているように見えても、条件が良ければ回復することがある。

・雪崩遭難で2時間45分の低体温心肺停止の後に後遺症なく回復した事例あり。

・復温されるまでは諦めないこと

・詳細は別記事に


【参考文献】

金田正樹・伊藤岳『図解 山の救急法』2018

川崎吉光 『登山技術全書⑨登山医学入門』2006

日本山岳医療救助機構HP https://sangakui.jp/medical-info/cata01/medical-info-2736.html


【山岳医療】コラム〜危険!身分証と緊急連絡先がないと…?

【take home message】

保険証と緊急連絡先は車に残置しないこと!

===

 

皆さんは、山に入るときに財布を持って行きますか?

それとも軽量化のために車に置いていきますか?


万が一の事故で、意識不明の状態で病院に搬送されたとします。

身分証明書がなく身元不明で、

かつ緊急連絡先もわからないと、病院で非常に困ることになります。


身分証明書がないだけならセーフ

本人確認ができず、本名でのカルテIDが作れません。

偽名で「仮のカルテID」を作ることになります。

警察などが介入して本人確認が取れるのを待つことになります。

もしくは、家族が到着して「間違いなく本人です」と証言してもらうのを待つことになります。


健康保険証がない場合は、医療費全額立て替えに

健康保険証がなくても、医療は受けられます。

しかし、病院での精算の際に、一旦は全額自己負担になります。

後から保険証を提示すれば、保険適応分は返金されます。



身元もわからず、緊急連絡先もわからない場合が一番危険

本人が意識不明の重篤の場合、

キーパーソンと呼ばれる最も近しい関係の者とともに、治療方針を決定していきます。

本人の現在の状態だけでなく、持病や価値観も考慮する必要があります。

緊急連絡先がわからないと、そのような相談ができません。


命にかかわることなので、本人の携帯にロックがかかっていない場合は、

病院で連絡先アプリを拝見して、家族と思しき方に連絡をすることがあります。


それもできない時には、警察や消防による情報収集を待つしかない時もあります。


(超緊急の場合は、医学的に必要と判断された治療を行い、個々のことは事後承諾)


結論

身元不明かつ緊急連絡先不明は危険!

保険証は車に残置しないこと

緊急連絡先は紙にまとめて、財布やスマホケースなど、わかりやすい場所に入れておくこと




2023年12月18日月曜日

出張雪崩講習会 バックカントリー仲間を助けるために必要なこと ご希望の日程で行います。 2023-24


出張雪崩講習はじめました

各地の雪崩講習会はシーズン初めに募集や開催が行われ、人数制限もあって参加できない方。仕事の都合で参加できない方。シーズン途中で始めた方だと講習会に出れないという問題があります。

その問題を解決し、皆様の安全なバックカントリーライフを支援できるように、出張雪崩講習を開始しました。

雪崩コンパニオンレスキュー訓練

雪崩講習会を定期的に、ご希望の地域と日程で行っています。


参加費:5000円(一人)

最少催行人数:なし(できるだけお仲間集めていただけると助かります)

開催日:ご希望の日程

開催日時:ご希望の日時

場所:ご希望の地域(旭川近郊、札幌近郊など。ご希望の場所で開催します)

講習時間:3~6時間程度(スムーズにいけば早く終わるもあります)

講習内容:(参加者のレベルに合わせて、必須メインに講習。余力があれば以下追加講習)

1.雪崩ビーコンダブルグループチェック ※必須

2.ビーコンサーチ ※必須

3.プロービング ※必須

4.シャベリング ※必須

5.シナリオトレーニング(雪崩発生から、サーチ、プロービング、シャベリング)※必須

6.埋没者救出後の処置方法について ※必須

7.CT(コンプレッションテスト)、弱層テスト

8.沢の穴に落ちた人の救出方法



シャベリング


CT(コンプレッションテスト)、弱層テスト



※1 講師は旭川在住のため、遠方になる場合は追加料金いただく場合がございます。


※2 人数が多くなる場合、お断りさせていただく場合がございます。サポート講師がみつけられたら開催しますが、追加料金発生となる場合があります。


※3 できるだけ少人数でも開催させていただきますが、少人数かつ遠方の場合は追加料金ををいただくか、お断りさせていただく場合がございます。


※4 参加人数が少ない場合、広く募集をかけて、参加者を集めるためにご希望の日時を変更させていただく場合がございます。


講習希望者はこちらのフォームよりお申込みください。



ご質問がある場合は以下のSNSよりご連絡ください。

---------

【SNS】

Instagram

twitter

Facebook



友だち追加


---------


講師のプロフィールはこちらからご覧ください。


2023年12月12日火曜日

出張ビレイ講習会 リードクライミングのビレイで仲間に怪我をさせないために必要なこと ご希望の日程で行います。札幌、帯広、旭川近郊、クライミングジム

 





室内でも、外岩でもリードクライミングのビレイ技術不足が原因で起こる事故はたくさんあります。

しかし、ビレイヤーの技術不足による事故は、訓練をすれば防げます。

フリークライミングは落ちることを前提でトライをします。アルパインクライミングとはビレイの厳しさが全然違います。

クライミングはベテランから教わり、そのまま技術が伝えられますが、ベテランだから、安全ということはなく、危険なビレイをしていることがあります。その人が強いクライマーだからといって、安全なビレイをしているとは限りません。

仲間に怪我をさせないために、安全なビレイについての講習を受けて学びましょう。

そしてできれば、毎年仲間同士でシーズン初め(春)にビレイ訓練をしましょう。

皆様の安全なクライミングライフを支援できるように、出張ビレイ講習会を行います。


参加費:5000円(一人)

最少催行人数:二人(リードできる方と、ビレイヤーの最低二人でお申し込みください)

開催日:ご希望の日程

開催日時:ご希望の日時

場所:ご希望のクライミングジム、あるいは外岩(札幌、帯広、旭川どこでもいきます)

講習時間:2-6時間程度(スムーズにいけば早く終わる場合もあります)

講習内容:リードビレイにおける安全なビレイの改善指導

実際に普段やっていただいているビレイを行なっていただき、ビデオ撮影を行い、客観的にみて改善点を洗い出します。


※時間が余り余裕があってご希望があればロープワーク、クライミングの体の使い方、支点構築、マルチピッチ、クラック技術等の講習もいたします。





※1 講師は旭川在住のため、遠方になる場合は追加料金いただく場合がございます。


※2 人数が多くなる場合、お断りさせていただく場合がございます。サポート講師がみつけられたら開催しますが、追加料金発生となる場合があります。


※3 できるだけ少人数でも開催させていただきますが、少人数かつ遠方の場合は追加料金ををいただくか、お断りさせていただく場合がございます。


※4 ジムの利用料金はいただきません。


ビレイ講習希望者はこちらのフォームよりお申込みください。


ご質問がある場合は以下のSNSよりご連絡ください。

---------

【SNS】

Instagram

twitter

Facebook



友だち追加


---------


講師のプロフィールはこちらからご覧ください。


2023年12月11日月曜日

山のまこちゃんのプロフィール


積丹岳BC
ニックネーム:まこちゃん
生年月日:1985年6月6日
出身:札幌市
住所:旭川市(2024/4から札幌)
職業:会社員、雪崩講習講師、プロ山スキーヤー、山岳ガイド、クライマー、登山教室、YouTuber、家事代行、出張料理教室

料理アカウントはこちら

山行ジャンル:夏山登山、沢登、岩登り、バックカントリースキー、アイスクライミング、雪山登山

一番好きなもの:バックカントリー山スキー

山以外の趣味:焚火、釣り、キノコ狩り、自転車(クロスバイク)、囲碁、料理

山のまこちゃんバックカントリースキー装備 日々更新

【山経歴】

2014年4月 登山開始(29歳)
2016年11月 バックカントリースキーを開始
2017年4月 山岳会入会
2017年5月 岩登り開始
2017年6月 沢登り開始
2019年1月 アイスクライミング開始
2019年2月 北海道雪崩講習会基本クラス受講
2019年4月 山岳クラブ北海道Mountaineersを立ち上げ
2021年2月 北海道雪崩講習会中級クラス受講
2022年1月 北海道雪崩講習会講師志望生として講師を担当
2023年2月 北海道雪崩講習会講師志望生として講師を担当
2023年4月 北海道雪崩講習会講師資格取得

大雪山 テント泊 縦走

【資格】

北海道雪崩講習会 講師

【所属】

特定非営利活動法人 北海道雪崩研究会
北海道Mountaineers 代表

黒松内岳 沢登り


【活動内容】

ブログやYouTubeを通して、自分の経験で得た情報を発信

・初心者向けに登山の技術、知識、装備、経験談、山めしを紹介。
・登山口やコースの概要を紹介
北海道夏山登山ガイド」「北海道バックカントリーガイド(雪山)



【活動への思い】

小樽赤岩クライミング

 北海道を舞台に、自分が苦労した、失敗した経験談をもとに、登山者全員が快適に登山ができるように情報を発信しています。そして、山岳事故を一つでも減らせるように安全に関する情報も発信しています。自分の経験が少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。
 皆様と情報を共有して登山を盛り上げていきたいと思っています。

【ブログ・YouTube実績】

・ブログ(山のまこちゃん登山ブログ) ※2019年11月現在
合計PV:25万 月間平均PV:8千

・YouTube(山のまこちゃん) ※2023年11月現在
チャンネル登録者数:約19500人 合計視聴回数 約740万回


【商品レビュー依頼実績】

カシオ プロトレックスマートF30,F21
Naturehike トレッキングポール
NULL シューパウダー
その他、ストック、ゴーグル、アクションカメラレビュー10数件。

【テレビ取材、放送】

・RKB毎日放送  今日感ニュース 「棒ラーメン60歳」特集
使用動画:「【登山料理】登山ラーメン 山の棒ラーメンを食べてみた

・とくダネ! - フジテレビ
使用動画:「ラッセル訓練 藻岩山登山
その他各局にて「那須雪崩事故のニュース報道でラッセルの参考動画として使用」


【まこちゃんと一緒に山に行きたいという方へ】


以下三つの方法があります。

1.北海道Mountaineersというクラブへの入会

2.登山教室

3.ガイドツアー


【1.北海道Mountaineersというクラブへの入会】

北海道Mountaineersというクラブを作っております。詳細はクラブのページをご覧ください。
クラブは部活です。先輩が後輩に教え、後輩は次の人に教えていくことが求められます。
お互いに高めあう仲間という枠なります。規約でも「各個人の得意分野を最大限に生かし、会に還元する」と記載しています。
また、必ず教えるとも約束はしていません。相互にスキルの向上を目指し、訓練する機会があるクラブです。
ただ教えてもらいたい。連れて行ってもらいたいという人には向いていませんので、登山教室か、ガイドツアーをご利用ください。


【2.登山教室(クライミング教室、スキー教室)】

【月1~2回の現地講習またはオンラインレッスン。 (北海道内の山、クライミング、沢登り、クライミングジムなど)】

山岳会とかには入りたくないけど、安全管理に必要な技術をきちんと教えてもらいたい方向けです。



【3.ガイドツアー】

北海道内の山、スキー場、クライミング、沢登り、アイスクライミングなど行っています。

詳しくはこちら



北海道外の方で、北海道に短期滞在する方のBCまたはスキーゲレンデ仲間探し、仲間紹介サービスです。詳しくはこちら。まこちゃんと一緒に行ける確率はかなり低いです。



【冬季限定 出張雪崩講習やってます】

【初心者向け 雪崩サーチ&レスキュー】

詳しくはこちらのページをご覧ください。


【中級者向け 気象、雪崩の予測とCT、積雪観察】

・参加費:1万円

1.1時間程度のオンライン事前講習を2回
2.積雪がある場所で、CTと積雪観察を実施
3.オンライン講習を1回
4.積雪がある場所で、CTと積雪観察を実施

※時間と場所は参加者に合わせて柔軟に実施

【上級者向け 引き上げシステム構築、ロープを使ったレスキュー】

※沢の穴に落ちて上がれない人の救出、雪庇から落ちて上がれない人の救出、懸垂下降技術など

・参加費:1万円

1.1時間程度のオンライン事前講習を2回
2.室内または屋外でシステム構築を実施


ご希望の方は以下のSNSからご連絡ください。

---------

【SNS】

Instagram

twitter

Facebook


友だち追加


---------

※当ブログではAmazonアソシエイトリンクを利用しています

2023年12月1日金曜日

オンライン雪崩学校2024 バックカントリー開催のお知らせ、雪山登山の安全性を高めるために

 オンライン雪崩学校2024 バックカントリー開催のお知らせ、雪山登山の安全性を高めるために


目的:雪崩に関する知識を定着させ、安全性を高め、後輩に指導できるようにする。

人数:5名まで

対象者:勉強熱心、雪崩講習を多少なりとも受けている人(全く知識0の人は対象外)

料金:参加毎に2000円(途中で辞めていただいても問題ありません)。1万円の一括払いも可

開催月:12.1.2.3.4月(5か月間)

内容:


1.事前に生徒一人にテーマを与えます


2.生徒全員で予定をすり合わせてミーティング日時を時間を決めます(主に平日夜)


3.発表者はそれまでに資料を作り、ミーティングで発表をします。

※課題を与えられることによりここで成長します。資料作成などで困ること、質問があればサポートします。


4.発表後にディスカッションをして、良かった点や悪い点を出して、改善します。

※ここで改善をします


このサイクルを毎月行っていきます。


※まこちゃん講義ではないため、まこちゃんは基本的にお話ししません。みなさんに発表してもらうことをサポートします。


希望者はこちらのフォームからお申込みください。





2023年11月25日土曜日

2023/12/10 山のまこちゃん雪崩講習勉強会のお知らせ

 



2023/12/10 山のまこちゃん雪崩講習勉強会のお知らせ


【日時】 2023年12月10日(日)9:00~15:00

【場所】 中山峠または札幌近郊(参加者と天気など考慮して決めます)

【参加費】5000円

【定員】7名

【持ち物】 ※レンタルは行いません。全て持参してください。

・雪崩ビーコン(デジタル3本アンテナ、マーク機能付)

・ショベル

・プローブ

・スノーソー

・冬山で、深雪の中でも1日行動できる雪山装備一式(激しく動き続けないのでカイロやダウンなど多めに)

・行動食


【内容】

グループチェック

積雪観察(CT、ECT)

プロービング

シャベリング

雪崩コンパニオンレスキュー


【免責について】

参加される方は予め山岳保険、賠償保険など加入してご参加ください。事故・怪我の保険は参加費に含まれておりません。

山岳エリアは悪天・落石・崩落・雪崩など自然フィールドで起こりうるリスクを含み、その環境のなかですべての危険要素を排除回避することは困難です。リスクを含んだうえでの参加となることを十分理解し、ご本人、ご家族の了承のうえで参加表明、意思として参加をお受けさせていただきます。

気象・その他不可抗力の事由によりコース変更・中止、延期判断もあります。

現地での主催者の判断指示に従い行動願います。



【参加者には事前にオンライン教材をご覧いただきます】


※参加者にお知らせします。


【申し込み】

こちらのフォームよりお申込みください。



2023年11月20日月曜日

馬追山 自然の森遊歩道コース~名水コース【北海道夏山登山ガイド】

瀞台の休憩スペース
------
山:馬追山
標高:272.7m
活動距離:5.5km
高低差:584m
累積標高上り/下り 346m / 347m
往路コース:自然の森遊歩道コース
復路コース:名水コース
登り:45分
下り:45分
体力度:★☆☆
危険度:★☆☆
オススメ度:★★★☆
レベル:初級

トイレ:なし
トイレマップ:なし

登山口駐車場:自然の森遊歩道コースは3台。名水コースは10数台可能
登山口駐車場のGoogle Map:https://goo.gl/maps/Fg3n5t7bkKsVUDjX8

温泉:ながぬま温泉(600円) 
温泉URL:https://hpdsp.jp/naganuma-onsen/hot_spring

YAMAP:https://yamap.com/activities/4911023 (2019/11/02)
------

 馬追山(うまおいやま)は北海道の由仁町と長沼長の間にある馬追丘陵(うまおいきゅうりょう)の中にある山で標高は275mある。実際の山頂部にはいけず、実質の山頂は瀞台(しずかだい)という場所の標高272.7mの場所になっている。
 登山の対象としては、山頂からの景色もあまりないため認知度は低い。しかし、遊歩道が整備されており自然観察をするのに最適だ。また、名水コースの登山口には「馬追の名水」が湧き出ているため水を汲みに訪れる人も多い。登山前に飲み水として組んでいくのが定番だ。
 4月の雪解け時期には早いうちに登れる山として熱心な登山者がシーズン初めに訪れることが多い。
 馬追山の北側に馬追温泉があったが2019年現在閉鎖されている。馬追山のコースは複数あり、「名水コース(と謬分岐で名水大回りコース)」、「自然の森遊歩道コース」、「旧馬追温泉コース」、の登山口が3つで、名水コースが途中で分岐し、4コースある。
 馬追丘陵には自衛隊の施設があり、林道が張り巡らされているため分岐は大変多い。標識もあるため迷うことは少ないと思うが、年のためGPSを用意したい。
 今回は「自然の森遊歩道コース」~「名水コース」に下山するコースを紹介しよう。車1台しかなくてもこのコースなら下山してからもあまり歩かない。



遊歩道入り口が登山道入り口

駐車スペース。3台が限界

遊歩道入り口

案内板もある

樹木の標識はいたるところにある

小さな沢
  

瀞台

瀞台

瀞台

瀞台の休憩スペース

ここからは名水コースを下る

途中にある林道との合流地点。林道と散策路どちらでもいける


馬追山の名物


馬追山の名物であるトンネル

上には林道があるため、下を通過する

名水コース登山口


動画はこちら


2023年11月の動画はこちら






2023年11月17日金曜日

【山岳医療】低体温症②道警山岳救助隊式プラティパス湯たんぽの作り方

 道警山岳救助隊式プラティパス湯たんぽの作り方を解説します。

プラティパス湯たんぽは低体温症に対して使用します。

低体温症の対応は以下の4原則。


【低体温症の対応4原則】


(山岳医療救助機構HP)


①食べる:熱産生するために糖質を摂取する

②隔離:寒さ、雨、風を防ぐ環境作り

③保温:これ以上体温が逃げないように衣類を着込む

④加温:プラティパス湯たんぽなど


このうち、加温の方法として、プラティパス湯たんぽは大変有用です。



【プラティパスの使い方】





①熱湯を使用。温度勾配が大きい方が早く熱が伝わるため。


②7割くらい入れたら空気をぬく。

パンパンに入れすぎて容器が丸くなってしまうと、逆に接触面積が小さくなってしまう。


③アウターシェルの上から当てる。もしくはタオルなどに包むなどしてやけどに注意。


④体幹(胸・腹)に当てる。背中はやけどになりやすいので避ける。


※容器はペットボトルよりプラティパスの方が接触面積大きくなるので加温効率がよい。



現場の状況により、使える道具や手段も変わってくるので、正解不正解というよりも、引き出しを増やしていくことも大切です。



【参考】

山岳医療救助機構HP

2023年11月16日木曜日

【山岳医療】雪崩埋没者の心肺蘇生




【雪崩埋没者の死因】

ほとんど窒息(84%)。残りは外傷(15%)。

低体温症による心停止はまれ(1%)



【雪崩埋没者への対応の本質】

これは雪崩に限らず、どんな傷病者でも基本となる部分です。

①意識の確認

②呼吸の確認

③「意識・呼吸なし」→心肺蘇生



【雪崩埋没者に特有の留意点】

・窒息による心肺停止の可能性が高い。

・窒息による心肺停止か、低体温による心肺停止かの判断材料として、埋没時間を考慮する。

・埋没時間が60分以内であれば、窒息を疑う。

心肺蘇生の最初にまずは人工呼吸(5回)を行います。

20分以上の心肺蘇生にも反応がなければ、蘇生の見込みに乏しく、状況次第で蘇生処置中止も許容されます。

・埋没時間が60分を超えるのであれば、低体温症による心肺停止の可能性も出てくる。

呼吸や脈が非常に遅くなっていることがあるので、呼吸(と脈)の確認に最大1分間かける。

呼吸なしであれば、通常通りの心肺蘇生を継続します。

・心肺蘇生を行いながら、保温・加温も行う。

人手不足であれば、心肺蘇生が優先されます。



【key point】

・現場での混乱は必至です。

何分がカットオフ??人工呼吸何回だっけ??などと迷って対応が遅れるくらいなら、普通の心肺蘇生を救助隊が来るまで行ってください。



【救助隊へ引き継ぐこと】

・窒息の有無

口と鼻の両方が雪などで「完全に隙間なく詰まっている」のであれば「気道閉塞/窒息あり」。わずかでも隙間がある or よくわからない場合は「気道開通もしくは不明」と伝える。

(「窒息あり」の場合は回復の見込みが極めて乏しくなる。)

・雪崩発生時刻と掘り出し時刻(窒息していた時間)はその後の治療方針決定に必要な情報です。



【参考資料】

・2022 雪崩教本

山岳医療救助機構HP 

Avalanche Victim Resuscitation Checklist Revised 2023(ICAR)



2023年11月14日火曜日

【山岳医療】心肺蘇生 〜倒れた仲間を助けられますか?〜



状況に応じた変法が色々ありますが、ここでは一番基本となる心肺蘇生を解説します。

山に限らず、日常生活上でもこの方法で行います。




【一連の流れ】

消防が提供している動画がわかりやすいです。


応急手当WEB講座





①意識の確認


倒れている人を発見したら、「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」肩を叩きながら声をかける。

反応がなければ、次へ


②人を集める、救助要請


周りの人に救助要請を指示。周囲に人がいなければ自分で救助要請。

あればAEDも持ってきてもらう。(山小屋にはあるところも)


③呼吸(と脈)の確認


呼吸(と脈)の確認をする。

呼吸なし(、脈なし)であれば、心肺停止と判断して、心肺蘇生へ。

※脈の確認には技術が必要なので、医療従事者でなければ行わなくてよい。


④胸骨圧迫と人工呼吸


胸骨圧迫30回→人工呼吸2回が1セット。これを救助隊が到着するまで繰り返す。







【ポイント解説】

①意識の確認






②人を集める、救助要請





必ず個人を指名して依頼する。

大衆へ向けて依頼しても誰もやらない。

救助要請は110番or119番通報。

色々聞かれてしまって時間がないのに!と言う状況ならば、

とりあえず位置座標だけ伝えるでもよい。

位置座標はジオグラフィカの現在地表示で緯度経度を伝えるのがよい。




③呼吸(と脈)の確認

10秒以内に行う。速やかに胸骨圧迫を開始するため。


呼吸の確認






「頭部後屈、顎先挙上」とうぶこうくつ、あごさききょじょう

気道確保の姿勢を作る。「頭部後屈顎先挙上」を行うことで、舌の落ち込みが改善して気道が通る。

口の中に異物が詰まっていれば取り除く。







「見て、聞いて、感じて」

傷病者の顔に自分の耳と頬を近づけることで吐く息を感じる。

目線は傷病者の胸とお腹の動きを見る。

目線を低くすることで、胸とお腹の動きが見やすくなる。


「普通の」呼吸でなければ、「呼吸なし」と判断する。


死戦期呼吸:心停止直前直後のあえぐような顔の運動。きちんと胸まで空気を吸えていないので、呼吸としては無効。これも呼吸なしと扱う。

見慣れていないとわからないので、「普通の」呼吸でない、もしくは自信がないなら「呼吸なし」と扱う。


・脈の確認 ※医療従事者のみでよい。

首の正面真ん中に気管が通っている。

そのすぐ脇の奥に3本指を縦に置いて触れる。


心肺停止の時の脈の確認は手首ではなくて首です。

頭へ血流が行っているかどうかが大切なので。


慣れていないと「ないものをない」と言うのは難しいので、医療従事者でなければ脈の確認は行わなくてよいとされています。

呼吸の確認のみ行い、「普通の」呼吸がなければ、胸骨圧迫と人工呼吸へ。


以上を10秒以内に行います。




④胸骨圧迫と人工呼吸

胸骨圧迫





速さは1分間に100-120回 ♪あんなこといいな〜できたらいいな〜

押す場所は胸の真ん中、乳頭の間

深さは少なくとも5cm。全体重かけて深く押す、完全に戻す

山では1分ごとに交代。疲れると有効な胸骨圧迫ができなくなります。


人工呼吸





頭部後屈、顎先挙上の体勢を作る。

鼻をつまんで、口を塞ぐ。約1秒かけて優しく送り込む。

軽く胸が上がるくらいにとどめる。

空気を送りすぎると、胸の圧が高くなり、心臓に返ってくる血液が減ってしまいます。

胃もパンパンになって嘔吐しやすくなります。嘔吐されると人工呼吸の継続が難しくなります。



これを30対2で行います。

声に出してカウントしながら押す!

3サイクルくらい(大体1分)を目安に交代しながら行います。




【講習会のススメ】


いくら動画を見ても、イメトレしても、

実際にどれくらいの力をかけていいのかは、体で覚える必要があります。


講習会に参加すれば、模型の人形を使って練習できます。

人形と人間も違うところはありますが、訓練としては必須です。

各地で随時開催されています。


消防


日本赤十字



今回解説したプロトコールは、

BLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2020に準拠しています。