2023年11月14日火曜日

【山岳医療】心肺蘇生 〜倒れた仲間を助けられますか?〜



状況に応じた変法が色々ありますが、ここでは一番基本となる心肺蘇生を解説します。

山に限らず、日常生活上でもこの方法で行います。




【一連の流れ】

消防が提供している動画がわかりやすいです。


応急手当WEB講座





①意識の確認


倒れている人を発見したら、「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」肩を叩きながら声をかける。

反応がなければ、次へ


②人を集める、救助要請


周りの人に救助要請を指示。周囲に人がいなければ自分で救助要請。

あればAEDも持ってきてもらう。(山小屋にはあるところも)


③呼吸(と脈)の確認


呼吸(と脈)の確認をする。

呼吸なし(、脈なし)であれば、心肺停止と判断して、心肺蘇生へ。

※脈の確認には技術が必要なので、医療従事者でなければ行わなくてよい。


④胸骨圧迫と人工呼吸


胸骨圧迫30回→人工呼吸2回が1セット。これを救助隊が到着するまで繰り返す。







【ポイント解説】

①意識の確認






②人を集める、救助要請





必ず個人を指名して依頼する。

大衆へ向けて依頼しても誰もやらない。

救助要請は110番or119番通報。

色々聞かれてしまって時間がないのに!と言う状況ならば、


基本的に、通報先には発信者の電波から取得した位置座標も伝わっている。

ジオグラフィカの現在地表示で緯度経度を伝えるのも良い。




③呼吸(と脈)の確認

10秒以内に行う。速やかに胸骨圧迫を開始するため。


呼吸の確認






「頭部後屈、顎先挙上」とうぶこうくつ、あごさききょじょう

気道確保の姿勢を作る。「頭部後屈顎先挙上」を行うことで、舌の落ち込みが改善して気道が通る。

口の中に異物が詰まっていれば取り除く。







「見て、聞いて、感じて」

傷病者の顔に自分の耳と頬を近づけることで吐く息を感じる。

目線は傷病者の胸とお腹の動きを見る。

目線を低くすることで、胸とお腹の動きが見やすくなる。


「普通の」呼吸でなければ、「呼吸なし」と判断する。


死戦期呼吸:心停止直前直後のあえぐような顔の運動。きちんと胸まで空気を吸えていないので、呼吸としては無効。これも呼吸なしと扱う。

見慣れていないとわからないので、「普通の」呼吸でない、もしくは自信がないなら「呼吸なし」と扱う。


・脈の確認 ※医療従事者のみでよい。

首の正面真ん中に気管が通っている。

そのすぐ脇の奥に3本指を縦に置いて触れる。


心肺停止の時の脈の確認は手首ではなくて首です。

頭へ血流が行っているかどうかが大切なので。


慣れていないと「ないものをない」と言うのは難しいので、医療従事者でなければ脈の確認は行わなくてよいとされています。

呼吸の確認のみ行い、「普通の」呼吸がなければ、胸骨圧迫と人工呼吸へ。


以上を10秒以内に行います。




④胸骨圧迫と人工呼吸

胸骨圧迫





速さは1分間に100-120回 ♪あんなこといいな〜できたらいいな〜

押す場所は胸の真ん中、乳頭の間

深さは少なくとも5cm。全体重かけて深く押す、完全に戻す

山では1分ごとに交代。疲れると有効な胸骨圧迫ができなくなります。


人工呼吸





頭部後屈、顎先挙上の体勢を作る。

鼻をつまんで、口を塞ぐ。約1秒かけて優しく送り込む。

軽く胸が上がるくらいにとどめる。

空気を送りすぎると、胸の圧が高くなり、心臓に返ってくる血液が減ってしまいます。

胃もパンパンになって嘔吐しやすくなります。嘔吐されると人工呼吸の継続が難しくなります。



これを30対2で行います。

声に出してカウントしながら押す!

3サイクルくらい(大体1分)を目安に交代しながら行います。




【講習会のススメ】


いくら動画を見ても、イメトレしても、

実際にどれくらいの力をかけていいのかは、体で覚える必要があります。


講習会に参加すれば、模型の人形を使って練習できます。

人形と人間も違うところはありますが、訓練としては必須です。

各地で随時開催されています。


消防


日本赤十字



今回解説したプロトコールは、

BLSプロバイダーマニュアル AHAガイドライン2020に準拠しています。






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特定のノウハウや治療法を推奨するものではなく、最適解は状況により異なります。

個々の事例に対する責任は一切負いません。

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