2023年2月7日火曜日

バックカントリースキーにおけるパウダー(雪)の種類と雪の種類別の滑り方について 北海道の山スキー限定(本州除く)

 

天塩岳のパウダーを滑る

バックカントリーにおけるパウダー(雪)の種類と、雪の種類別の滑り方(スキー限定)について今までの経験を書いていきます。

パウダースノーと一言でいっても雪山では様々な雪質が存在します。そしてその雪の種類で滑り方がかなり変わってきますので、詳しく解説していきます!


こちらの動画でも詳しく解説





【パウダー】大分類:パウダー 小分類:パウダー

新雪。いわゆる普通のパウダーです。主に日本海側に降る、ほとよく湿気がある良く反発し、とても滑りやすい雪です。


[滑り方]

通常のパウダーの滑り方と変わりません。ゲレンデとは違い、圧を加えると沈み込むため反発を利用してターンを繰り返します。いわゆるパウダーターンと呼ばれる技術が必要です。


【ドライパウダー】大分類:パウダー 小分類:パウダー

千尺高地で深いドライパウダーを堪能する

普通のパウダーに比べると、よく乾いていて、通常のパウダーよりもさらに軽くてドライな雪をドライパウダーと呼びます。北海道だと富良野や上川地方によく降ることが多いです。最も良い雪と呼んで良いでしょう。

[滑り方]

通常のパウダーの滑り方と変わりません。

千尺高地で深いドライパウダーを滑っているときの動画(5:21)



【羽毛パウダー】大分類:パウダー 小分類:ドライパウダー

なかなか出会うことがありませんが、乾燥して良く冷え込んだ日の標高が高いところに降ることがあります。本当に羽毛のようなパウダーで、ドライパウダーとはまったくもって違います。

[滑り方]

このパウダーの場合、通常のパウダーのように圧をかけたときに反発が来ません。底付きしない深い雪だと、踏み込むとそのまま沈んでいくのでターンのきっかけがつかめなくなります。そのため、滑るときはやや後傾にして板の傾きだけで滑る「スノーサーフターン」が有効な滑り方になります。


羽毛のようなドライパウダーを滑る(4:45)




【もっちりパウダー】大分類:パウダー 小分類:湿雪

通常のパウダーと比べると、やや湿気を含んでおり、踏んで圧をかけたときの反発が「もっちり」した感触になります。触感がクリーミーな感じになるため、クリーミーパウダーと表現することもあります。上手に圧をかけることができないスキーヤーは「クリーミー」感じることが多いかもしれません。

[滑り方]

通常のパウダーの滑り方と変わりません。


ややもっちりパウダーだった音江山(12:55)






【湿雪パウダー】大分類:パウダー 小分類:湿雪

いわゆるクソ雪と言われるもので、水分を多量に含んでおり、スキー板の上に乗っかり、ターンのたびに足元が重くなります。水分を多量に含んでいるため重いです。滑りにくいからクソ雪と呼ばれます。北海道では主に3月以降の春に見られます。筆者は本州のパウダーは経験ありませんが、本州で経験がある山スキーヤーはみんな口を揃えて言います。「これが本州のパウダーだ!」と。

[滑り方]

普通に滑ると、スキー板の上に雪が乗り、ノーズが上がらなくてターンの切り替えが上手くできず、転ぶことがあります。そのため、テールを沈めてトップを浮かせる「ドルフィンターン」が有効です。このほかにはジャンプターンも有効になります。板が太ければ太いほど浮いて、スキー板の上に雪が乗りにくいで、湿雪パウダーにはできる限り太い板(センター110mm以上)が有効です。


【ストップスノー】大分類:パウダー 小分類:湿雪

5月4日のゴールデンウィークに新雪が降ってよく晴れた日
春の新雪が降って晴れた日は要注意


新雪の湿雪パウダーが降ったあと、太陽の光があたってしばらくすると、ストップスノーに変化します。滑っていると急に板をつかまれたように急減速するため、別名「妖怪板つかみ」と呼ばれています。調子をこいてスピードを出すと、急にストップして、足元を残して上半身が前に出ます。車にのっていて急ブレーキを踏まれた感じになります。そうなると、テックビンディングの場合、踵が解放するけど、前は解放せず、頭は雪面に飛び込み、板が顔の前に突進してくるという恐怖体験をすることになります。筆者のまこちゃんはこれで前歯2本を折っています。

[滑り方]

このストップスノーを攻略するには、スピードを出さないことです。スピード出して板をつかまれると大けがにつながります。ワックスで攻略できることがあるらしいのですが、有効なワックスだったという体験談はありません。


ストップスノーにやられて前歯を折った時の映像(開始5:12より)


※モナカについて

モナカとは、外側が固く、中身が柔らかい雪のことを指します。そのモナカの中でも複数の種類があります。日射の影響によるクラストモナカ。風の影響によるウィンドパックモナカ、さらにそれぞれのモナカでもbreakable(ブレイカブル)なモナカ。滑っていて簡単に壊せるものをbreakable(ブレイカブル)。簡単に壊れないものをunbreakableと分類します。


【クラストモナカ】大分類:モナカ 小分類:unbreakable

ストップスノー+クラストモナカで転倒するまこちゃん

新雪が降ったあとに、日中に日射の影響を受けて、表面が冷え固まったけど中は柔らかいパウダーの状態。春に南側の斜面で遭遇することがあります。歩いてラッセルするときも表面が固いけど中が柔らかい気持ち悪い雪となります。さらに、この上にうっすらと湿雪の新雪が積もり、日射の影響を受けるとストップスノーが表面にできて、「ストップスノー+クラストモナカ」という最強最悪なラスボス的な雪に変化することがあります。春のよく晴れた日に遭遇することがあります。

[滑り方]

普通に滑ると、スキー板のノーズがクラストした表面にひっかかり、ターンの切り替えができず、大変滑りにくいです。初心者はまともに滑れません。頑張って後傾にしたままノーズを上げて滑ることもできますが、かなり疲れます。太ももがやられます。この滑り方には「ジャンプターン」や「ドルフィンターン」が有効です。ただし、これだけでは有効とは言えません。板を揃えることが重要です。板をしっかりと揃え、両足に均等に加重をすることで、、浮力を上げ、トップに刺さる雪を破壊するための力を両足同時に行うことで砕氷船のように破壊突破力がある滑り方が求められます。上級者じゃないとできません。ほとんどの方は後傾ターンになります。初心者でどうしても滑れない場合は斜滑降をして、キックターンを繰り返してゆっくりでいいので安全に降りてくるのが無難でしょう。


「ストップスノー+クラストモナカ」という最強最悪なラスボス的に出くわした動画

(16:28)からです。



【breakable(ブレイカブル)クラストモナカ】大分類:モナカ 小分類:breakable


クラストモナカと同じですが、表面のクラストした雪が薄く、ラッセルして歩いているときもそれほど気にならないような、でも薄いモナカだなと感じられる雪になります。

[滑り方]

表面のクラストモナカの厚さにもよりますが、ほとんどの場合影響はありません。通常のパウダーの滑り方を同じで良いでしょう。ただし、油断すると足をとられて転倒するので、板をしっかりそろえること意識すると良いでしょう。


【ウインドパックモナカ】大分類:モナカ 小分類:unbreakable

強風の風が強い日に吹雪とともに新雪が積もると、風で叩かれてスラブ化した雪になります。このスラブ化した雪で、強風の影響で表面がパックされた状態になると、表面が固く、仲が柔らかい雪になります。歩いてラッセルしているときもラッセルがしにくいと感じるでしょう。風が強い日に起こりえるので、厳冬期でも出くわすことが多いです。おまけに雪崩の要因にもなるのでやっかいな雪となります。

[滑り方]

クラストモナカの攻略法と一緒になります。


シャクナゲ岳でウインドパックモナカにより転倒するまこちゃん(7:11)



【breakable(ブレイカブル)ウインドパックモナカ】大分類:モナカ 小分類:breakable


ウインドパックモナカと同じですが、表面の叩かれた雪が比較的柔らかい状態になります。風が強すぎると大変思い、分厚いウインドパックモナカとなりますが、比較的弱い風だと軽めのウインドパックモナカになります。

[滑り方]

breakable(ブレイカブル)クラストモナカと一緒になります。


【ザラメ】大分類:ザラメ

春の日射がよくあたる斜面で新雪が降らず、融解と再凍結を繰り返すことによりできるザラメ。春は新雪よりもザラメを狙って滑った方が楽しいです。

[滑り方]

ゲレンデと同じように滑れます。そのため、スキー初心者でパウダーが上手に滑れない方でもザラメ斜面は気持ちよく滑れることが多いです。スキー初心者にとってはとても楽しい雪となるでしょう。


室蘭岳でザラメを気持ちよくすべる(6:03)




【フィルムクラスト】大分類:ザラメ

フィルムクラストは表面がキラキラしている

春のザラメの尿面が解けて、フィルム状にクラストした状態。滑ると心地よい音とともに割れて飛び散ります。滑るとまるでパウダーのように飛び散るので、フィルムクラストパウダーと呼ぶこともあります。

[滑り方]

ザラメと変わりません。


フィルムクラスト(8:33)





北海道雪山ガイド(冬山)(スマホの場合はこちらをクリック)

Google MAPにて登山口までの情報と、各コースへの登山情報が得られます
主に山スキーを想定して記載しています。スプレッドシートの一覧表はこちら
※まだまだ情報は少ないです。現在も作成中




0 件のコメント:

コメントを投稿