2023年11月16日木曜日

【山岳医療】雪崩埋没者の心肺蘇生




【雪崩埋没者の死因】

ほとんど窒息(84%)。残りは外傷(15%)。

低体温症による心停止はまれ(1%)



【雪崩埋没者への対応の本質】

これは雪崩に限らず、どんな傷病者でも基本となる部分です。

①意識の確認

②呼吸の確認

③「意識・呼吸なし」→心肺蘇生



【雪崩埋没者に特有の留意点】

・窒息による心肺停止の可能性が高い。

・窒息による心肺停止か、低体温による心肺停止かの判断材料として、埋没時間を考慮する。

・埋没時間が60分以内であれば、窒息を疑う。

心肺蘇生の最初にまずは人工呼吸(5回)を行います。

20分以上の心肺蘇生にも反応がなければ、蘇生の見込みに乏しく、状況次第で蘇生処置中止も許容されます。

・埋没時間が60分を超えるのであれば、低体温症による心肺停止の可能性も出てくる。

呼吸や脈が非常に遅くなっていることがあるので、呼吸(と脈)の確認に最大1分間かける。

呼吸なしであれば、通常通りの心肺蘇生を継続します。

・心肺蘇生を行いながら、保温・加温も行う。

人手不足であれば、心肺蘇生が優先されます。



【key point】

・現場での混乱は必至です。

何分がカットオフ??人工呼吸何回だっけ??などと迷って対応が遅れるくらいなら、普通の心肺蘇生を救助隊が来るまで行ってください。



【救助隊へ引き継ぐこと】

・窒息の有無

口と鼻の両方が雪などで「完全に隙間なく詰まっている」のであれば「気道閉塞/窒息あり」。わずかでも隙間がある or よくわからない場合は「気道開通もしくは不明」と伝える。

(「窒息あり」の場合は回復の見込みが極めて乏しくなる。)

・雪崩発生時刻と掘り出し時刻(窒息していた時間)はその後の治療方針決定に必要な情報です。



【参考資料】

・2022 雪崩教本

山岳医療救助機構HP 

Avalanche Victim Resuscitation Checklist Revised 2023(ICAR)



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